M-1グランプリ2024の開始前に、第20回大会を記念して、
歴代のチャンピオンを語ってくれた「M-1とは」カウントダウンを振り返りつつ、
M-1とともに育った超重度のM-1ファンの私が、個人的な感想も添えていきます。
中川家
おそろしいほど緊張した。
もう逃げたいと何度も思った。
ちゃんとネタができたか覚えていない。
出番が終わって気づくと、
気がつくと、見晴らしのいい壁の上に立っていた。M-1とは……「無我夢中」
【個人的な感想】
大本命、ラストイヤー、トップバッター……
他のコンビよりも背負うものが多かったと思います。
剛さんがM-1の舞台裏で緊張で苦しんでいる様子を何度も見た気がする。
第一回の不安定な空気を制したのは、一番の安定感。
「見晴らしのいい壁の上」、良いですね。
M-1とは「壁」でもあるんだなぁ。
ますだおかだ
嬉しさよりも
まだ漫才師でいられるという
安堵と達成感しかなかった。
優勝してから、
自分たちの漫才が綺麗な包装紙で
包まれるようになった。
中身は何も変わっていないのに。M-1とは……「道場破り」
【個人的な感想】
第一回大会で大会委員長の島田紳助さんが「吉本贔屓はしない、ガチンコの戦い。松竹のますだおかだにもチャンスはある(意訳)」とわざわざ触れるほど、
当時は「やはり吉本が勝つんじゃないか」という雰囲気が漂っていたので、
まずたおかだにとっては「アウェーに赴く道場破り」という認識が強かったのかも知れない。
また、2002のラストイヤーには漫才師生命を賭けていたますだおかだにとって、
結果を出せた事で漫才師でいられる安心感を得た、ということだと思います。
フットボールアワー
とにかく夢中やった。
低い点数つけられたのが悔しくて悔しくて、
それが原動力になった。
M-1がなければできない漫才があった。
漫才がもっと好きになった。M-1とは……「恋」
【個人的な感想】
2006の再出場時のネタ前VTRで、岩尾さんが「一回抱いた女をまた抱きに行くみたいな…」と出場理由を語っていました。
まさしく、M-1とは恋なのだと思います。
フットは2002では披露宴、2003では結婚記者会見のネタを披露しており、
やはり色々な意味で「恋」なのかもしれません。
優勝ネタはSMタクシーですしね。
アンタッチャブル
2003年、敗者復活コンビ発表。
舞台上で、帰りの電車を調べていた。
そこから決勝。からの、翌年優勝。
いま思えばあの時、
人生の乗換案内を見ていたのかもしれない。M-1とは……「乗換案内」
【個人的な感想】
「からの、」が良いですね。
アンタッチャブルの決勝ネタのフレーズ。
また、「乗換案内」と聞いて、アンタッチャブルのネタ中に電車のくだりがあったなぁと思い出しました。
ていうか、上の文章もザキヤマさんがいつものノリで
「そうですねー。帰りの電車調べちゃってたんで。その後ああいうことがあって、今振り返ったら、人生の乗換案内を見ていたのかも知れないですねー。いや、もしかしたら見てなかったかも知れないですね。本当はね。なんなら、逆に見られてたかも知れないですね。逆にね。え? M-1とは? うーん…まあ、乗換案内ですね。見られてたんでね。やっぱりね」
とか言ってるのを、編集サイドがうまいこと要約してそうな雰囲気も感じました。
ブラックマヨネーズ
舞う紙吹雪がスローに見えた。
こんな良いことが自分の人生に起こるなんて。
優勝ネタは、
2人で大笑いしながら作ったネタだった。
俺らがやってたことは、間違ってなかった。
おかげで小杉の薄毛対応も間に合った。M-1とは……「自己鍛錬」
【個人的な感想】
自己鍛錬、吉田さんが言ってそうな雰囲気が凄いする。
あと、優勝ネタを二人で大笑いしながら作ってるくだり良いなぁ。
大竹まことさんが「俺はオーソドックスそんな好きじゃないんだけど、オーソドックスの凄さを見た」と言っていたのを思い出しました。
オーソドックスだけど、二人にしか出来ない漫才。
チュートリアル
6年間挑戦し続けた。
辛かった。苦しかった。
もうこれでM-1に出なくて良いんだ。
優勝した瞬間、やっと解放感で満たされた。
はじめて二人で掴んだ“いちばん”だった。M-1とは……「苦行」
【個人的な感想】
完全優勝のイメージが強いですが、2001年の松本さんの50点(史上最低得点)から始まり、そこから四年間涙を飲んできたので、苦行だったと思います。
2007でキングコングが更新するまで、返り咲きの最長ブランク。
あと、2005年は決勝進出をハワイで確認してるくだりを思い出しました。たむけんさんにいじられてたやつ。
ええ場所で確認してんなぁ笑
サンドウィッチマン
四分の漫才で人生が変わった。
「あー借金が返せる!」という実感以外は夢のようだった。
今でも、M-1のことを言われる。
その度に、漫才をやり続ける使命感を感じる。M-1とは……「一発逆転」
【個人的な感想】
ほぼ無名の状態から、ラストイヤーのトータルテンボスと、人気芸人のキングコングをまくった、敗者復活の代名詞コンビ。
当時の知名度も、歴代チャンピオンの中でかなり低い印象です。
まさしく一発逆転、四分の漫才で人生を変えたコンビの一組。
サンドウィッチマンが優勝して以降、笑みくじが実装される直前の2016年まで、
敗者復活枠が常に最終決戦に進むようになりました。
そういう意味では、敗者復活組という枠の注目度自体を一段階上げた感じもあります。
NONSTYLE
それまでの漫才をすべて捨てた。
優勝するためだけのネタを作った。
優勝するためだけに上京した。仕事も減った。
そこまでやって、初めて優勝できた。M-1とは……「覚悟」
【個人的な感想】
「覚悟」という言葉選びがNONSTYLEらしいな、と思いました。
お笑いブーム全盛、M-1史上最高視聴率の王者。
結果のためなら、大阪時代の代名詞であったイキリ漫才だって捨てられる。
王者として臨んだ2009の決勝では、昨年度の優勝ネタである「膝叩き」も封印した。
スタイルに囚われない、まさしく「NONSTYLE」だと思います。
旧M-1の優勝コンビの中でも、特に若い層へのアプローチが届いた組。
パンクブーブー
決勝進出が決まった瞬間、3時間泣き続けた。
優勝した瞬間、全く泣けなかった。
なにがなんだかわからなかった。
自分たち以上にまわりが喜んでくれて
ただただ放心していた。M-1とは……「絆」
【個人的な感想】
懐かしい…!
決勝進出が決まった場面でめちゃくちゃ泣いてたのに、
優勝が決まった場面では全く泣かなかったエピソードはやっぱり印象的です。
さて当時の彼らは、
決勝進出は初めてで、
特にキャラクターやシステム漫才という特徴的な型があるわけでもない、
当時は知名度も低く、
連続出場や敗者復活、ラストイヤーなどの劇的な要素は何もない。
歴代M-1の中でも、純粋なネタの力だけで優勝に辿り着いたコンビだと思います。
面白ければ優勝できる。
彼らがそう証明した。
笑い飯
ほぼレギュラーになっていた。
ラストイヤーどうしても優勝したかった。
優勝した瞬間、ビキビキビッキーズをしなければと思った。
いつの間にか年末に風邪をひかない身体になっていた。M-1とは……「年末恒例」
【個人的な感想】
まさしく年末恒例だと思います。笑い飯を象徴する言葉。
今後塗り替えられることがないであろう、九年連続決勝進出という記録。
決勝でもことごとく結果を出し、9回決勝に出て5位より上しか取ったことがないという怪物コンビ。
彼らの武器であるWボケはいつしか完全に定着し、2008年以降は「大体わかったからやらせてや」と最初に入れ替わるくだりだけで拍手笑いが起こるまでになっていました。
控え室の中継や敗退時コメントなどで笑いを取ろうとする姿勢含め、色々な角度からM-1を盛り上げ続けたコンビだと思います。
「M-1」王者でありながら、「M-1」の象徴。
2010年、大会内ではすっかりベテランの大本命になっていた笑い飯に対し、
スリムクラブがかつての笑い飯のようにダークホースとして現れかき回す流れが印象的でした。
トレンディエンジェル
ドラマ、CM、音楽番組、
M-1は、たくさんの夢を叶えてくれた。
同時に、僕らの目標を一気に奪った。
そのギャップにしばらく苛まれた。
でも、なにをしても中途半端な僕が、
自信を持って娘を抱けた。
それが全て。M-1とは……「夢と現実」
【個人的な感想】
復活後一発目のM-1チャンピオンでありながら、
史上二組目の敗者復活からの逆転優勝。
敗者復活戦を勝ち上がった当時は、「呼ばれるとは思っていなくて、ネタを覚えてなかった」という二人。
呼ばれてからCM明けまでの数分間に急いでネタ合わせをして、勢いそのままに大会の空気を攫っていきました。
ハゲネタやギャグという「決勝戦では通用しない」と言われる要素を武器に、
あれほどの爆笑をさらっていったのは技術がなせる技だと思います。
2015というフレッシュな空気感にもマッチしていた。
敗者復活戦当日の朝は、自分達が勝ち上がれるとは思っておらず「仕事を一つ終えてくるか」くらいの認識で出発した彼ら。
一日が終わる頃にはM-1チャンピオンになっているという、その辺りも含めて劇的、まさしく「夢と現実」だと思います。
銀シャリ
優勝する日が来るなんて思わなかった。
チャンピオンとしての誇りや自信は、
僕らの漫才を明らかに変えた。
もっと自由な漫才がしたい!
アップデートがしたい!
漫才をどんどん好きになって、
好きが止まらない。M-1とは……「武闘会」
【個人的な感想】
2010年5位、2015年2位と順調に結果を出し、王道漫才の本命として臨んだ大会。
和牛、スーパーマラドーナと三つ巴で演じた激しい最終決戦が印象的です。まさしく武闘会。
2016年は大会全体の空気が明るく暖かい印象が個人的にあるのですが、
銀シャリの漫才スタイルはその象徴という印象。
とろサーモン
泥の中にいた人生。
芸人をやめる覚悟で最後の舞台に立った。
優勝した瞬間、全ての景色が変わった。
「富」「地位」「名誉」
国語の授業で習った言葉の意味が身に染みた。M-1とは……「優勝炎上」
【個人的な感想】
新M-1におけるとろサーモンの応援のされ方は凄かったと思う。特に2015の敗者復活戦は、手に汗握りながら見ていた思い出。
2017年には「ついにキターーー!」という、本人やお笑いファンの想いを、いやM-1制作陣の想いすら代弁しているであろう謎のキャッチコピー(?)と共に、ラストイヤーでありながら初の決勝進出。和牛との熾烈な最終決戦を制し、優勝を果たしました。
しかし、ネット上では「和牛が優勝だった」派と「いや、とろサーモンだ」派で意見が二分する結果に。M-1を見てきて、優勝議論が最も白熱した年の一つだと思います。
2010、2020辺りも多かったですが、2017は尖ったとろサーモンと万人受けの和牛と、タイプの違いが明確だったこともあり、一般視聴者の間でも意見が衝突しやすかった記憶。
更にその翌年のM-1でも、ライブ中に審査員に対するコメントで炎上。この件に関しては翌年度のM-1でも触れられるなど、一年以上尾を引く結果となりました。
更にそこから数年後の2022年、オール巨人さんが出した書籍で「とろサーモンが王者になった2017年は、僕は和牛が優勝だと思っています」と記載したことで、またも物議を醸すことに。
優勝をきっかけにたびたび炎上を繰り返す、まさしく「優勝炎上」。史上最も尖ったM-1チャンピオンとなりました。
霜降り明星
M-1を見て芸人に憧れ、
M-1を見て漫才を知った。
M-1で優勝して、やっと芸人になれた気がする。
ただ、優勝した瞬間のことは霧がかかったようにぼやけている。
本当に幸せな瞬間は、記憶には残らないと知った。
これで一生漫才師でいられる。
ここからが、俺らのはじまり。M-1とは……「すべての始まり」
【個人的な感想】
新M-1の中でも、特にM-1きっかけで大ブレイクした印象のコンビ。そこからの活躍は触れる必要はないでしょう。まさしく、すべての始まり。
2018年大会は全体的に重めの空気でしたが、彼らのセンスと瞬発力で快刀乱麻。
一本目の漫才が始まってすぐに自分たちの空気にしてしまったのを覚えています。
今はまだ出場資格がある立場ですが、
ラストイヤーを迎えた後はお二人のどちらかが審査員に加わる可能性もあるでしょう。
現在ではコンビそれぞれがマルチに活躍する、才能溢れる二人。
そんな彼らが自らを「漫才師でいられる」と認識していることに、漫才ファンとしては嬉しい気持ちがあります。
ミルクボーイ
2010年、M-1が休止。
目標を見失った。ギャンブルに逃げた。
そんな僕らを正してくれたのは、やっぱりM-1だった。
この一年、先輩の誘いも断り、
ネタ合わせだけをしてきた。
M-1は僕らを、もう一度漫才師として育ててくれた。M-1とは……「オカン」
【個人的な感想】
生放送中に審査員が触れるほど、ハイレベルな大会となった2019。
その中でも、大会史上最高得点である681点を叩き出したミルクボーイのコーンフレークネタは伝説となっています。
ミルクボーイ自身が何度も語っていた、「自分達は努力し続けたコンビじゃない」という言葉。
新ネタを作らず、毎日遊んで、ギャンブルに没頭し続け、前説だけをしていた時期があった彼ら。
漫然と日々を過ごす中、後輩である霜降り明星のM-1優勝に「俺ら何してんねん?」と意識を変え、発奮。
そこから一年間ストイックにネタを作り込み、ぶち当たっていた準々決勝の壁を破り、一気に優勝するまでになりました。
M-1によって漫才師として育てられ、M-1優勝を決めるネタは「オカンの物忘れ」という、
彼らにとってM-1とは、色々な意味でオカンということなのだと思います。
マヂカルラブリー
また最下位なら、2度と決勝には出られない。
そんな恐怖と戦った2度目の決勝。
自分達らしい漫才のままで、優勝できた。
何より嬉しかったのは、どうしても笑わせたかった人が笑ってくれたこと。
M-1とは……「トラウマ」
【個人的な感想】
史上唯一、最下位からの優勝。
優勝した要因の一つは、壮絶な前振り期間。
2017で最下位を取り、上沼恵美子氏と交わした壮絶なやりとりは、多くの人の記憶に残った。M-1の歴史上でも、あれほどインパクトのある平場もそうはありません。放送事故だったと思います。まさしくトラウマ。
それでも彼らは、出来ることを全てやりました。
翌年度のKOC2018ではファイナリストになり、
M-1グランプリ2018、2019では準決勝まで勝ち抜くと敗者復活戦から「えみちゃん」に呼びかけ続け、
R-1 2020では王者になるなど、挑戦には結果も伴いました。
今振り返ると、M-1決勝以外の外堀を埋めるかのような努力で、支持を集め、露出をし続けました。
そして、M-1 2020。
ネタ前VTRでの2017回想→土下座(正座)せり上がり→「どうしても笑わせたい人がいる男です」という流れで、登場早々に完全に掴み切ったと思います。
登場と同時に掴みを完了していることになるので、大会史上最速の掴みと言ってもいい。
そしてこれは、2017の最下位&上沼さんとのやり取りや、その後の執拗なまでの「えみちゃん待っててね」コメントを踏まえて起こった笑いなので、
つまりは三年を要した掴みといってもいい。
大会史上最速の掴みでありながら、
大会史上最長の掴みかもしれない。
この一連の流れが掴みの役割を担ったおかげで、2017と比べて格段にネタに入りやすくなっています。
逆にもしこのVTR & せり上がりによる掴みがなければ、
ネタの盛り上がりが一段階ダウンし、
ファーストラウンドで見取り図や錦鯉に競り負けていた可能性があり、そもそも最終決戦に進出出来なかった可能性さえありました。
最下位になったことが、最下位になっても挑戦をやめなかったことが、優勝に繋がる大きなフリを生んだ。
錦鯉
夢でも見られないことが起きた。
44歳の相方に抱きつかれて、「ありがとう」と言われて、涙が止まらなくなった。
生きていればいいことがある。
M-1のおかげで、僕は日本一のバカになれた。
M-1とは……「人生」
【個人的な感想】
史上初・50代ファイナリストにしてチャンピオン。
人柄・生き様が表れたようなバカキャラ漫才は、2020・2021共に鮮烈な印象を残しました。
バカキャラ漫才はどうしても「わざとやってる感」「無理してる感」が出るのですが、
まさのりさんの場合は所作が一生懸命で愛嬌があるため、見ている側が寄り添いたくなる……というのはあると思います。
そうして見ているうちに「バカを必死に演じている、愛すべきバカ」に見えてくる。
だからこれは、バカキャラ漫才というよりもバカ漫才なのだと思います。
応援したくなるバカを見ているうち、観客が前のめりに笑うようになる。似た例だと2019のぺこぱが該当するでしょうか。
まさしく人の力、魅力という武器。追い風を自分で作れるようなもの。こればかりは天性だと思います。
また、バカキャラを受け付けない層には渡辺さんの一歩引いたシャープなツッコミが刺さりやすいため、本当に良いバランスだと思います。
優勝の瞬間、感極まった審査員の表情が印象的。
私も優勝の瞬間、抱き合う二人を見て思わず涙が込み上げてきたのを思い出します。
ウエストランド
なんか優勝しちゃいそうだな。そんな2本が出来て憂鬱だった。
売れたいけれど、M-1王者の称号は重すぎるから。
でも、優勝して良かった。
爆笑問題、太田社長、大事な人たちが喜んでくれた。
やっぱりM-1には夢があった。
M-1とは……「やっぱり夢」
【個人的な感想】
2022のウエストランドは奇しくも、2020で不発に終わった時と同じ順番でのネタ披露でした。
ウエストランドの武器である偏見・毒舌・愚痴は、生放送という形態とすこぶる相性が良い。なぜなら編集されない、取り返しのつかない場だから。視点が鋭利になればなるほど、緊張感のボルテージと相まって爆発的な笑いを生む。皆が「もっと言ってくれ、もっと破壊してくれ」と思った筈。
しかもM-1決勝という「大きな場」で、M-1やR-1など「大きなもの」に対しての口撃は効果抜群。
まさしく、小市民怒涛の叫びが優勝を手繰り寄せました。
ちなみに、河本さんが死ぬほど綺麗な涙を流した時めちゃくちゃ笑ったのを覚えています。
令和ロマン
優勝しちゃった。
これから毎年決勝に残るつもりだったのに。
どうしよう。それがいちばんの感想だった。
だからまた挑戦する。
まだまだみんなと
漫才で遊んでいたいから。
M-1とは……「遊び場」
【個人的な感想】
史上二度目、トップバッターからの優勝。
あらゆる順番の中でも、最もハードルの高い順番である一番手。
その要因は、圧倒的なブランディングにあると思います。
ネタ前VTRでの世界観ある振る舞いに始まり、せり上がりでのボケや、M-1としては珍しい観客に語りかけるようなネタ、ネタ終わり後のやり取りなど、
とにかく見せ方の工夫が随所に見られた。
「令和ロマンというコンビをこう見せる」という工夫が、とにかく上手いしアグレッシブ。だからこそ、彼らを熱狂的に支持するファンも多い。
つまりは、ネタだけでなく、人にも興味を抱かせるような工夫。ネタ+人の力で勝ちに行く。
会場のボルテージ自体は例年に比べるとややおとなしめな大会でしたが、その中で令和ロマンが最も自分達のフィールドに引き摺り込んでいたと思います。
そして、2024年はM-1史上初の連覇へ挑戦。
迎え撃つは、
前年度2位のヤーレンズ、四年連続決勝進出の真空ジェシカ、ラストイヤーの返り咲きトム・ブラウン、勢いのある初進出組達。
果たして、優勝するのは。
ここからは、TVerで公開されている「レジェンドヒストリー」から抜粋!
番外編:ダイアン
M-1とは……「青春」
【個人的な感想】
2007年決勝進出が確定した際の「人生で一番嬉しい!」、
決勝ネタ後の「フワッフワしてました」など、
この頃から印象的なリアクションが多かった記憶。
ネタ以外の部分でもインパクトを残してるのがダイアンらしい。
そして2008年、決勝前の期間中お笑い関係のスレで「ダイアンのネタがヤバい、ダイアンが優勝する」って書き込みめちゃくちゃ見た記憶があります。懐かしい。
当時お笑いを追ってた人はみんなダイアンに注目してたと思う。
ちなみに、個人的に一番好きなせり上がりが、2008年のダイアンでした。
生放送の緊張感の中、トップバッターであれは格好良い。
「全国に衝撃を与えた登場シーン」として、その年のM-1リターンズでも触れられていた記憶。
番外編:かまいたち
M-1とは……「1000万」
旧M-1時代、中国人ネタや海賊ネタを見たのを思い出します。
特に海賊ネタは決勝を狙えるパワーがある、と評価されながらも、準決勝でまさかのネタ飛ばし。
また、2018年には思ったほど点数が伸びず歯痒い思いをした、と本人が語っているのも思い出しました。
色々なことがあったなぁ。
かまいたちは2017も2018も安定した順位を取っていましたが、やっぱり2019が凄い。
2019年のネタを見ている印象としては、「ゆっくり、確実に、間違えずに、ネタを進めていく」印象を受けました。2023の令和ロマンに近い。着実な間の取り方をしてた印象。
UFJネタはその頃かなり有名なネタでしたが、「それでも間違えなければ、今の自分達ならネタバレしていても笑いを取れる」という確信があるんだろうな、と思いながら見ていました。
要するに、王者の漫才。
印象的に、2017と2018はチャレンジャーの漫才、2019は王者の漫才。
見た目も雰囲気も様変わりしていて、上沼さんが「去年と全然違いました、何があったんこの一年」と言っていたのに頷いたのを覚えています。
私の中でかまいたちというコンビの印象は、「合理性」です。
合理的、計算、論理。
2019はそれらの上に覚悟や割り切りが乗っているような気がして、今までで一番太い筋が通っていた感じがありました。
番外編:銀シャリ
M-1とは……「成長加速装置」
【個人的な感想】
橋本さんのM-1への姿勢が見てて物凄く爽快でした。
熱量はあるけど、苦しい方向へは行かない感じ。
常にその場その場を楽しむ、余裕、人としての幅みたいなものが、ネタにも現れていたのかなと思います。
M-1が成長加速装置というのも興味深い。
確かに、従来の四十年分の進化を、M-1では十年で果たしている気がする。
冷静に考えて、漫才のレベルがえぐいですからね。
コンビ歴制限が十五年に緩和されたのも相まって、
決勝レベルになると全員上手い・面白いのは当たり前。
ネタの構成も洗練されて、えらいことになっている。
ボケの手数を増やしたり、伏線を回収したりと、その時代ごとのトレンドに漫才を進化させる適応力も磨かれる。
M-1に挑むことは、漫才偏差値を引き上げる成長加速装置なのかも知れません。
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