トップバッター不遇の時代が長く続いたあまり、
芸人審査員側にも「トップバッターであっても、ウケた場合は相応の評価をしよう」という意識が根付いたのが要因ではないか。
時代が令和になって、特に変わった点がここだと私は思う。
そしてここ最近はトップバッターの躍進が目覚ましい。
M-1では令和ロマン、KOCではカゲヤマ、ロングコートダディ。
ここ数年の優勝率を見れば、むしろトップバッターが一番高いという異常事態となっている。
では、今回のM-1でもトップバッター有利の流れは続くのだろうか?
可能性はある。
ただ、KOCほどではないと思う。
元々、KOCはM-1ほどトップバッター不利の大会ではない。
東京03やさらば青春の光、うるとらブギーズなど、
トップバッターでも優勝や準優勝を果たす組はいる。
そして、「M-1においてはトップバッターが有利というより、令和ロマンがエグかっただけ」という説を私は唱えたい。
正直令和ロマンはどの出番順でもウケたと思う。
たまたま彼らがトップバッターを引いて結果を残したから「M-1でもトップ有利の流れがきてるんだ」と錯覚してしまいそうになるが。
歴代のM-1を見てきている方ならおわかりかと思うが、トップバッターはマジで勝てないのだ。
また、ここ最近の「トップバッター有利の流れ」を審査員側も受け止めて、ここらで少し引き締めが入る可能性もある。
つまり、「少し落ち着いて、フラットに見よう」という実質的な下方修正が入るのではないか。
そして!
何よりここが問題となる点だが、
M-1におけるここ最近のトップバッターのイメージは、完全に令和ロマンである。
当然である。2年連続トップを引いたのだから。
そして、そのイメージは審査にも影響を及ぼすと私は思う。
はっきり言ってしまうと、
「過去の令和ロマンの点数が、基準点の一つになる」ということだ。
M-1の審査は他の組との比較による相対評価だが、トップバッターだけは別だ。
個人の主観のほか、「例年だとこのくらいの点数だな」という他年度との比較によって付けられる。
そして、ここにきて現れた絶好の物差しが令和ロマンだ。
要は、
「2023や2024の令和ロマンよりウケてないのに、令和ロマンより高い点数を付けられることは無い」のだ。
2023の令和ロマンは648点、2024年の令和ロマンは660点相当。
これらの点数を越えるには、これらの年の令和ロマンを超えるしかない。
そして、ここ最近の最終決戦進出ラインは650点以上にまでインフレしている。
何が言いたいかというと、トップバッターだけは、
「過去の令和ロマンに負けないくらいのネタ」を披露しない限り、
最終決戦進出は不可能ということである。
「M-1でもトップバッター有利になった?」
いやいや、全くの逆である。
優勝組がトップバッターを連続して飾ってしまったがばかりに、
私たちはどうしてもトップバッターを「令和ロマンとの比較」で見ることになる。
そして、令和ロマンよりウケてなければ、その時点で650点以上の点数は怪しくなり、
当然最終決戦進出の芽も消える。
二組目以降はそれまでの組との比較で済むが、
トップバッターだけは過去の令和ロマンとの比較にどうしてもなってしまう。
したがって、今年度は例年と同じか、それ以上にトップバッターの点数は落ち着くと予想する。
最終決戦進出はまず無い。
過去の自分の審査に縛られる。
「その審査員の審査基準が今年から変わる」か、
「今回のトップバッターが相当な大ウケをする」か、
このどちらかに該当しない限りは、
過去の令和ロマンに付けた点数が上限。
点数は伸びない。
ウケたとしても、630〜640点台相当に落ち着くだろう。
ただ、例外もある。
今回新たに審査員を務める後藤さんと駒場さんは、過去の令和ロマンに点数を付けていない。
つまり、過去の自分の審査に縛られず、
トップバッターから90点台後半をバンバン付ける可能性がある。
この二人が点数を伸ばした場合は、
2023の令和ロマンの点数を超える可能性は出てくる。
とまあ色々触れてきたが、要は
M-1でもトップバッター有利になっている気はするが、
- トップバッターというより令和ロマンが強かった
- トップバッター有利の流れを受けて審査員側も意識のテコ入れをする可能性
- トップバッターの比較対象が直近の令和ロマンになる
ということを踏まえて、
「M-1においては、トップバッターは有利では無い」と予想する。
ただし!
この条件の中で点数を伸ばすトップバッターがいたとしたら、本当に面白い組だと思う。
何より!
令和ロマンでさえ、トップバッターからのトップ通過は果たしていない。
令和ロマンの記録はアンタッチャブルレコードにも思えるが、
彼らにも負けない新時代の台頭にも期待したい。




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