みなさんこんにちは、今回はM-1グランプリをはじめとした、お笑い賞レースにおける順番の不利を解消する案を載せてみます。
トップバッターは不利
お笑いの賞レースを見ている方ならほとんどの方が感じたことがあるでしょう、
「トップバッターをはじめ、序盤の出番順が不利すぎ問題」。
トップバッターが不利な理由は大きく以下の点。
①会場が暖まっておらず、ウケ量で不利
②後半にコンビが控えてる以上審査員が思い切った点数をつけることができない
③後半になるほど序盤組の印象が薄れ、平等な比較ができなくなる
会場が暖まっていない
まず①についてですが、
まだ笑う準備が十分に出来ていない状況でネタを披露しなければならないトップバッターと、
色々なコンビがネタを見てほぐれたお客さんの前でネタを披露する後半組とでは、
やはり生まれる笑いの量には差が出ます。
当然トップバッターの前にも前説があったり、審査員たちの絡みによりある程度は場が暖められるのですが、
本番の空気、本番の緊張感というのはやはりあるもので、
「いよいよトップバッターのネタ披露です」となるとお客さんもテレビの前の私達も気を引き締めてしまいます。
思い切った点数をつけることができない
続いて②ですが、ここがある意味1番ネックかもしれません。思い切った点数が付けれない。
審査員の立場になって考えてみると分かると思いますが、
トップバッターにいきなり高得点をつけるのはかなり勇気が要ります。
例えばトップバッターに98点をつけたとして、その後にトップバッターより面白いコンビが何組も出てきたとしても、99点と100点しかつける範囲がなくなってしまいます。
要は点数の管理ができなくなってしまうわけですね。
それ故にトップバッターには、90点前後の抑えめの点数がつけられるケースが非常に多いです。
どれだけ爆発を起こしても合計630点代後半がトップバッターの限界。
しかし先ほども触れた通り、出番順が後に進むほど会場は暖まり笑いも増幅します。
審査員は当然ウケ量も重視しますから(ウケ量を最重視する人も少なくないでしょう)、
必然、トップバッターよりも後半組の方が評価され点数が伸びてしまう。
人というのは他の人の笑い声に敏感なもので、笑い声があればあるほど、“そのコンビが面白い”“そのコンビを評価すべき”と感じやすくなります。
会場が暖まっておらず明確に笑いの量で劣るトップバッターは、そういう意味でも不利と言えるでしょう。
また、先ほど“トップバッターはどれだけ高くても630点台が限界”と言いました。
これは単なる私の印象ではなく、実際M-1のトップバッターの史上最高得点は2021のモグライダーが出した637点。
しかし最終決戦進出ラインはみなさんも知っての通りインフレを重ね、今や650点を取ったとしても落ちてしまう年もあるほどです。
最低でも640点は取っておかないと最終決戦進出が見込めないのに、トップバッターはどんなにウケても630点台が関の山…
これは流石に順番の不利が大きすぎると言わざるを得ません。
番組後半に進むほど序盤組の印象が薄れる
そして③、「印象が薄れる」。
トップバッターというのは文字通りファーストラウンドの最序盤でネタを披露することになります。
そしてその後何組ものコンビが笑いをかっさらい、審査員のトークや劇的な展開が繰り返される中で、
次第にトップバッターのネタの鮮度は落ち、笑いの記憶が色褪せていくことになります。
審査というのは自分の中の面白さの基準という絶対評価だけでなく、他のコンビと比べてどうだったかという相対評価も含めての判断になりますので、この点においても不利と言えるでしょう。
客席が暖まっていない故に笑いが比較的起こらず、それ故にネタのインパクトが薄れ、
よりトップバッターのネタの記憶が軽くなってしまう。
①客席が暖まっていない
②高い点数をつけれない
③印象が薄れる
主にこれらの理由から、トップバッターは点数が伸び悩み、勝ち抜くことが至難となっています。
先ほども触れた通り、近年のM-1グランプリにおける最終決戦進出ラインは最低でも648点くらいは欲しいところなのですが、トップバッターの最高得点は637点。
トップバッターに対し、例え審査員の1人が思い切って98点をつけたとしても、届かないほどの点差です。
つまり審査員一人だけがトップバッターに優しくなるくらいじゃ現状は改善しない、非常に大きなハンデと言えます。
審査員側の苦慮もわかります。
トップバッターも戦えるような審査をしてあげたい、しかし①〜②の理由からやはり思い切った点数はつけることができない…
同業者である審査員の方も悩むところでしょう。
ただ、どれだけウケても630点代後半止まりの現状はやはりフェアではありません。
そこで今回提案するのは「トップバッターには審査員1人につき3点加点するとバランスが良くなる案」。
具体的にはトップバッターは3点、2番手は2点、3番手は1点、前半3組にそれぞれ加点をする、というもの。
私もM-1大好きなので決勝は審査員の気分でついつい点数をつけてみたりするのですが、
このやり方だと比較的ハンデが解消される気がします。
トップバッターに加点案
つまりこれはどういうものなのか?
例えばトップバッターのネタを見た審査員が「トップバッターにしてはめちゃくちゃ面白かったし92点つけよう」と考えたとします。
ここでこの加点案。
「待てよ。後半出てきたら場は暖まり笑いは増え、審査員も点数をつけやすくなってるはず。後半出てきたらもう3点プラスできるくらいの笑いは出してただろうな。よし、92点に3点足して95点にしよう」
こういうことです。
個人で3点、審査員7人全体で21点の加点。
これを各審査員ごとにして貰えれば、トップバッターの不利はかなり解消されるはず。
例えば、トップバッターで630点を出せるようなウケたネタは、後半出番だと650点前後は出ているであろうと思います。
故に全体で20点程度の加点はかなり妥当なところかなと。
この要領で、トップバッターには3点加点、2番手には2点加点、3番手には1点加点、4番手以降は加点0という具合に、点数面での補正は欲しいな、という案です。
わかりやすく実際にやってみる
まだややこしいかもしれないので、M-1グランプリ2021を例に、実際に個人でやってみます。
1組目にモグライダーが登場、
「めちゃくちゃ面白かった!でも客ウケは大爆発というほどではなかったか、92点くらいが妥当かな…」
そして点数発表時にこの3点加点ルール。点数を発表する時は95点をつけることにします。
モグライダー:95点
2組目はランジャタイ。
比較対象は、モグライダーの加点前の得点である92点。
「ウケはモグライダーほどではなかったし、3点くらい低くつけて89点かな」
そして点数発表時には、2番手には2点の加点ルール。91点をつけることにします。
モグライダー:95点
ランジャタイ:91点
3組目はゆにばーす。
客ウケは上々、でも前半ちょっと緊張が見えたかな…。
「モグライダーの92点より少し下で91点かな」
そこで3番手には1点の加点ルール。点数を発表する時には92点をつけることにします。
モグライダー:95点
ゆにばーす:92点
ランジャタイ:91点
…とまあこんな感じで、点数を発表する時のみ加点する、というもの。
基本的には加点前の点数だけで比較すれば、全体のインフレも防げます。
オズワルドが爆発して、「モグライダー(加点前92点)より5〜6点くらい上だな」と思って点数をつけたとしても97〜98点におさまります。
モグライダーが95点ですので、それほど点差がついてないようにみえますね。順番の影響による点差を、加点ルールによりきっちり補うことができるわけです。
加点後の点数をそのままその後の審査における基準点にしてしまうから点数がインフレしてしまうわけで、
「あくまで入力する時に加点するだけで、基本的には加点前の点数を基準点にする」ということを徹底すれば、かなりバランスが良くなるのではないのかなと。
まあもちろんこれはあくまで一お笑い視聴者に過ぎない私の意見なのですが、
M-1の第一回から常に見続けてきた人間として、それなりに妥当な案ではないかなと思っております。それくらい順番による影響は大きい。
敗者復活組をトップバッターにする案
さて、よく言われている敗者復活組をトップバッターに固定する、という案についても考えてみます。
一時期のR-1グランプリでこの試みがなされていましたが…
たしかにストレート進出組がトップバッターになることがない、と保障されるのは大きなことかもしれません。
トップバッター救済案、いうよりは決勝ストレート組優遇案、という感じですね。
敗者復活組は一度敗北しているのだから、トップバッター固定くらいのハンデがあって然るべき、という声もあります。
現在敗者復活組は
①寒空からすぐにネタ披露
②強いネタを既に敗者復活放送で一つ消費してしまっている状態
という一応それなりのハンデを2つ背負っているので、
個人的にはやはり先ほどの加点案が理想的ではあるのですが、
まあ色々なことを考えてやりやすいのはこちらの案だとは思います。
ただ敗者復活組をトップ固定にしてしまうと、敗者復活で勝ち上がるのを露骨に諦める組が増加しないかが懸念点。
もちろん勝ち上がった結果トップバッターでもいいからテレビに出たい、爪痕を残したい、というコンビは居るとは思いますが、
同時に「どうせ決勝に上がってもトップバッターで印象薄く終わるくらいなら、来年以降のためにネタを温存しておきたい」と諦めるコンビが現在よりもさらに増加する可能性もあります。
M-1は賞レースでありながらバラエティ番組でもあるので、
あまりにガチガチにしてしまい過ぎると、エンタメとして少し方向性がブレる部分も出てくるかもしれません。
あと、なんだかんだ笑みくじでいつ敗者復活組が呼ばれるか、というのも楽しみの一つではあると思うので、
この辺りはまだまだ詰める余地はあるでしょうね。
はい、そんなわけで今回はここまで。
みなさんならどのように順番の不利を解消しますか?
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